蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海の唇が再び絢乃の唇に重なる。
逃げようとしても、卓海の手に頭を固定されているため、逃げることができない。
しっとりした、柔らかい舌が狂ったように絢乃の口腔を侵していく。
絢乃は混乱しながら、卓海の唇を受け止めていた。
絢乃の心に、切ない痛みが広がっていく。
痛みは涙となり、絢乃の目尻から頬を伝って零れ落ちていく。
なぜ、卓海はこんなことをするのか・・・。
いくら道具だとしても・・・これは、あんまりだ。
卓海にとって、自分は一体何なのだろうか・・・。
ショックで放心しかけていた絢乃だったが、卓海の手が襟元に触れたことに気付き、はっと息を飲んだ。
いつのまにか唇は絢乃の首筋に移動し、その感触に体の芯がゾクッとする。
そして、卓海の手がシャツワンピースのボタンに掛かった瞬間。
───絢乃の脳裏に、あの記憶が一気に蘇った。