蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「・・・や・・・っ」
「・・・」
「いや───っ!!」
絢乃は反射的に手を振り上げた。
それはバシッという音とともに卓海の頬を直撃し、卓海は驚いたように顔を上げた。
・・・大きく見開かれた、その二重の瞳。
絢乃は呆然と卓海を見つめていた。
───頭が真っ白になり、自分が何をしたのかわからない。
けれど手にジンジンと残る痛みは、幻ではない。
やがて絢乃の目前で、卓海がクッと唇を歪めて嗤った。
───その、昏く冷たい瞳。
その苛烈な瞳に、絢乃は息を飲んだ。
「・・・やってくれたな、お前・・・」
「・・・っ・・・」
「オレを楽しませるための道具が、オレを怒らせたらどうなるか。・・・さすがのお前でも予想はつくよな?」