蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
4.執着
マンションへの帰り道。
絢乃は途中の公園のベンチに座り、夜空を見上げた。
・・・目尻から、涙がとめどなく流れ落ちる。
───今日のデートは、楽しかった。
卓海はただ遊ぶために絢乃を連れ出したのだと、わかっていても・・・
卓海が時折見せる笑顔や仕草に、ドキドキした。
卓海は高慢かつ傲慢で破滅型の性格ではあるが、その分、たまに見せる優しさや気遣いがとても心に響く。
先週の、慧の見舞いの時もそうだが・・・
言動は鬼で自分勝手ではあるが、大人の男性として色々なことを知っているし、いざという時には頼りになる。
仕事もできるし、課員達にも慕われている。
そんな卓海が、自分にだけは本性を見せてくれている・・・・。
そのことを、自分でも知らないうちに嬉しいと思うようになっていた。
他の女性達は知らない、卓海の本性。
傲岸不遜ではあるが、心惹かれずにはいられない、あの性格。