蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
絢乃を離したくない一心から、卓海はとっさに期間を延長した。
けれどそれを告げた後、卓海の心には鈍い痛みが広がった。
・・・自分はあんな言葉で、絢乃を縛り付けることしかできない・・・。
慧とは雲泥の差だ。
どうして、絢乃は自分にあんな表情しか見せないのか・・・。
慧に向けるような笑顔を、どうして自分には見せないのか。
───堪えきれない嫉妬が、卓海の心を深く切り裂いていく。
そして・・・。
それと共に胸に突き上がる、激しい執着心。
どんな女にも抱いたことのない、異常なまでの執着心。
・・・自分でも醜いと思うが、もうどうしようもない。
もう、止めようがない・・・・。
昏く激しい感情が、卓海の心の中で荒れ狂う。
卓海は大きなため息をつき、自らの醜さから目を逸らすようにぐっと目を瞑った。