蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
三章
1.戸惑い
翌週の月曜。
11:00。
自席の端に置いた携帯が、ピピッという音とともに振動で揺れる。
絢乃は携帯を手に取り、開いた。
・・・卓海からだ。
『12:10 社食の席をとっておくこと』
絢乃は沈鬱な表情で、そのメールをじっと見つめた。
これまでと変わらない指令メールだ。
土曜のことを思い出すとどうしようと思う反面、以前と変わらずメールが来たことに心の隅でほっとする自分がいる。
けれど・・・。
───心が、重い。
これまでは指示されたことを特に深く考えず、『またか』と思いながら淡々とこなしていた。
でも、今は・・・。
絢乃は重いため息をついた。