蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



それから一週間後。

───水曜の昼前。

昼休みを前に、社員達がどことなくざわついている中。

絢乃は卓海からのメールをじっと見つめていた。


『12:10 社食の席をとっておくこと』


絢乃はメールを見、重いため息をついた。

・・・あれから。

卓海に指示され社食の席をとっても、卓海は別のテーブルへと行くことが増えた。

そしてこれまでは土曜にデートをしていたのだが、デートに誘われることもなくなった。


───どうやら卓海は遊びの志向を変えたらしい。

戸惑う自分を見て楽しんでいるのか・・・。

卓海が何を考えているのか絢乃にはわからないが、距離を置かれているのは事実だ。

あの日、卓海を怒らせたからなのだろうが・・・。

であれば、一か月延長する必要もないと思うのだが・・・

けれど卓海には、今のところ、絢乃を手放すつもりはないらしい。


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