蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
絢乃は慌てて声を上げた。
これまで、データベースの運用は担当してきたが、移行はしたことがない。
データベースの移行には巨額の費用も掛かる。
───絶対に、失敗は許されない仕事だ。
蒼白になった絢乃に、澤田の隣に座った卓海が言う。
「オレもいろいろ考えたんたけど。絢乃ちゃん以外、任せられそうな人がいなくてね」
「・・・っ・・・」
「大変かもしれないけど、よろしく頼むよ?」
にこりと笑い、卓海は言う。
その笑みに、絢乃は背筋がぞっとするのを感じた。
───これまでの嫌がらせとはわけが違う。
というか、これは嫌がらせという類ではなく、相当本腰を入れて掛からなければならないクリティカルな仕事だ。
絢乃は蒼白になりながら、二人の話を聞いていた・・・。