蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
2.敵地偵察
12:00。
ピンポーン、とチャイムが鳴り、絢乃は慌ててインターホンのボタンを押した。
「はいっ」
『オレだ』
どうやら卓海が来たらしい。
それにしても、『昼』と言っていたが、本当に12:00ピッタリに来るとは。
会社でも卓海は時間には厳しいが、どうやらプライベートでもそれは同じのようだ。
その神経の細やかさを別の部分に向けてくれればいいのに、などと思いながら絢乃は玄関の鍵を開けた。
ガチャっとドアを開けると、エレベーターホールの方から卓海が歩いてくる姿が見える。
黒のビンテージジーンズに白いボタンダウンシャツ、カーキのカーディガンというラフな格好だが、相変わらず目を奪われる格好よさだ。
その手には何やら袋のようなものを持っている。
卓海は絢乃の姿を見つけると、つかつかと足早に歩み寄って来た。
「・・・どうだ、あいつの様子は?」
「奥の部屋で寝込んでます」
「そうか。・・・入るぞ」