蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~





卓海の言葉に、絢乃はぐっと言葉を詰まらせた。

・・・確かに、物流システムのデータベースに一番詳しいのは自分だ。

押し黙った絢乃に、卓海は言う。


「まずはお前自身で考えて動いてみろ。最初から泣き言を言うんじゃない」

「・・・っ・・・」

「何かあればオレに聞け。あと、ベンダーと接触する前に必ずオレに連絡すること。いいな?」


卓海はそう言い捨て、会議室を出て行った。

───その、冷徹な背中。

卓海は仕事に関しては前から厳しい。

そしてこと仕事に関しては、嫌がらせで何かを振ってくるということはない。

つまり卓海は、絢乃がこの仕事をこなせると踏んで絢乃に振ってきたのだろう。



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