蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~




雅人は鬼軍曹ではあったが、新しい仕事のときは、手順や方法、気を付けねばならないことなどを一通り事前に教えてくれた。

その上でわからないことがあれば聞け、というスタンスだった。

しかし卓海の場合は、最初から部下に全てを考えさせるというスタンスだ。

放任主義とも言うが、部下に考える力を付けさせるという点では卓海のやり方の方が理に適っている。

しかしそれは、部下がある程度有能であればの話だ。

第二は基本的に個人プレーの集団で有能な人物が多いため、卓海はこの方法でやってきたのだろう。

けれど・・・。


脳裏に、不安がよぎる。

けれどもう、やらないわけにはいかない・・・。

絢乃は肩を落とし、ゆっくりと会議室を出て行った。


< 72 / 190 >

この作品をシェア

pagetop