蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
その日の夜。
絢乃はリビングのソファーで膝を抱え、ぼんやりと天井を見上げていた。
───この頃、会社に行くのがひどく憂鬱だ。
慣れない仕事に加え、卓海との仲がギクシャクしていることがかなりのストレスになっている。
このままの状態が続けば、一体どうなってしまうのか・・・
正直、卓海との仲がこじれたことが、ここまでストレスになるとは思ってもみなかった。
前はむしろ、卓海が自分を避けてくれたら有難いとすら思っていたのに・・・。
江の島やお台場でのデートを思い出すと、なぜか心が締め付けられるように痛む。
幸せな想い出ほど、今は深い傷となって絢乃を苦しめる。
・・・こんな思いをするなら・・・
あんなに楽しい想い出なんて、くれなければよかったのに・・・
どうして、卓海は・・・。