蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
そこで卓海は言葉を止め、絢乃を見た。
・・・鋭く、真剣な瞳。
絢乃は思わず息を飲んだ。
「RFPで相見積させるってのは、間違っちゃいねぇよ。だがな・・・」
卓海は言いながら、手にしていた書類をばさっとテーブルの上に置いた。
それを見、絢乃ははっと目を見開いた。
・・・それは、絢乃が作成したRFPだった。
驚く絢乃に、卓海は続ける。
「・・・このRFPには、ウチの会社の情報が山のように詰め込まれている。言ってみれば秘密情報の塊だ」
「・・・っ!」
「普通はな、RFPの前に秘密保持契約を結ぶ。既に取引してる会社は秘密保持契約を締結済だからいいが、新規の会社はそれが必須だ。・・・なのに、お前は・・・」
そこまで言い、卓海は鋭い目線を絢乃に向けた。
・・・針のような、鋭い怒り。