蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
会議室を出た後。
絢乃は休憩スペースに駆け込み、両手で顔を覆った。
・・・とんでもない失敗をしてしまった。
確かに、卓海はベンダーに接触する前に自分に連絡するようにと言っていた。
慧も、事前契約が必要な場合があると言っていた気がする。
それを忘れ、RFPを送ってしまったのは自分だ。
・・・自分に非があるのは明らかだ。
卓海が怒るのも理解できる。
そして、忙しい卓海の手を煩わせることになってしまったことが、何よりも悔やまれる。
───卓海が自分に向けた、あの視線。
これまでに見たことがないような、怒りの表情。
憎悪すら混ざっていたように見える、あの視線・・・。