蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海は呆れたように言い、パタンと扉を閉じてダイニングテーブルの所に戻った。
そのままダイニングテーブルの上の袋を開け、中に入っていた昼食用の惣菜などを次々と取り出す。
病気の慧を気遣ってか、煮物や野菜など、胃に優しいものがほとんどだ。
こういう気遣いもできるんだ、と思わず感心した絢乃に、卓海はいつもの口調で言う。
「温められる惣菜は温めろ。その方が体への負担は少ない」
「あ、はい」
「薬は飲ませたのか?」
「いえ、まだです」
「じゃあ飯の後に飲ませろ。何か胃に入れてからの方がいいからな」
卓海はテキパキと惣菜をテーブルに広げていく。
その姿は会社で仕事をしている時とあまり変わらない。
絢乃は言われたとおりに惣菜を陶器の皿に広げ、レンジで温めた。
そのまま小皿に分け、慧のところに持っていこうとした、そのとき。
「・・・いい。オレが持っていく」
「・・・えっ?」
「お前はここにいろ」