蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「珍しいな、お前がオレを呼び出すとはな。・・・お前、昼飯は?」
「いえ、まだです」
「どこかに行くか? 今からなら、まだ・・・」
「いえ。すぐに終わる話ですので、ここで結構です」
絢乃は務めて冷静な声で言い、じっと卓海を見上げた。
・・・卓海の目を見つめているだけで、心が揺れる。
胸の奥から溢れる切なさに、涙が出そうになる。
本当は、もっと違うことを言いたい気もするのに・・・
けれどもう、この辛さに向き合い続けることはできない。
───しっかりと、伝えなければならない。
絢乃は卓海の茶色がかった美しい瞳を見つめ、口を開いた。
「例の件ですけど。・・・もう、終わりにしませんか?」
「・・・どういうことだ?」
「期限まであと一週間残ってますが、この状態なら続ける意味はないと思います」
「・・・」
「だからもう、終わりにしてください。・・・お願いします」