蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「もう、・・・解放してください。お願いします・・・」
「・・・っ、絢乃・・・」
「言いたいことはそれだけです。・・・失礼します」
絢乃は言い、踵を返した。
・・・これで、伝えたいことは伝えた。
踵を返した瞬間、堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出す。
・・・これで、終わった・・・。
終わりを心待ちにしていたはずなのに、どうして今、こんなに苦しいのか・・・。
絢乃は涙を拭い、エレベーターホールの方に歩いて行った。
───そして、そんな絢乃の姿を。
卓海は昏い光を湛えた目で、じっと睨むように見つめていた・・・。