蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
その日の夕刻。
絢乃は澤田部長のもとを訪ねていた。
別の部署に異動したいという旨を伝えると、澤田は驚いて仰け反った。
「・・・突然どうしたんだ、秋月。何かあったのか?」
「いえ、その・・・」
絢乃は俯き、必死で言葉を探した。
本当の原因は卓海との仲がこじれたことだが、それを表立って言うわけにはいかない。
絢乃は頭中の細胞を総動員して必死に考えた。
「あの、ちょっとこの頃、プライベートでいろいろありまして。で、別の部署に異動したいな、と・・・」
「・・・?」