蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
6.恋
<side.卓海>
21:00。
卓海は北千住にある自分のマンションの玄関をくぐり、エレベーターホールへと向かった。
マンションは10階建てで、卓海は8階の角部屋に住んでいる。
ちなみに卓海の実家はここから少し離れた赤羽にあり、実家には両親と姉、そして妹が暮らしている。
卓海は通路を歩きながら、昼間の絢乃の言葉を思い出した。
『もう、・・・解放してください。お願いします・・・』
思い出すたびに、卓海の胸に鋭い痛みがよぎる。
卓海は自嘲するように笑った。
───初めて絢乃が望んだことが、自分との関係を終了させることだとは・・・。
さすがの卓海も想像すらしていなかった。