蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
絢乃から呼び出しを受けたのも初めてだった。
絢乃が自分に会いたいと言ってくるのは初めてだ。
絢乃からのメールを受け取った時、正直、嬉しいと思った自分がいた。
しかし、ロビーに向かった卓海を待っていたのは、実に皮肉な結果だった。
絢乃から突き付けられた最終通告。
恐らく絢乃の中では、もう結論が出ているのだろう。
そもそも、絢乃は最初からこの関係を望んではいなかった。
───執着していたのは、卓海だけだ。
元に戻るだけだ、とは思う。
元のように仕事をし、元のように休日を過ごし・・・。
女達をからかい、たまに遊んで・・・。
暇つぶしにはそれで十分だ。
・・・そう思うのに・・・。