求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
●翔哉side
メールで聞いていたマンションの、彩乃達のうちの部屋番号を指定してインターフォンを鳴らすと、しばらくして「はい、どうぞ」と少しくぐごもった彩乃の声がして、エントランスが解錠された。
階段で三階に行き、玄関でまたインターフォンを押そうとすると、ガチャリとドアの開く音と共に彩乃が顔を出した。
「翔哉…いらっしゃい、どうぞ上がって」
「お邪魔しま…」
「だぁえ~?ママァ~?」
招かれて中に入り、返した言葉に重なるように足元から声がして、彩乃から視線を下げてみると…何とも言い表せないほどの、可愛らしい女の子が、彩乃の足に抱きついて俺を見ていた。
彩乃はひょいと抱き上げながら「さぁちゃんと遊ぶために来てくれた、しょ、う、や、おにいちゃんだよ」と微笑み話していた。