求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
「あなたが彩乃って人かしら?」サングラスをかけたすらりとした、見るからにモデルな女性が仕事を終えて保育園に向かおうとした彩乃に話しかける。
「……?はい…そう、ですが…」全く状況が分からない彩乃は少し見上げなければならない、その女性の方を向きながら首をかしげた。
その、自然な愛らしい仕草に、内心舌打ちしながらも、言葉は静かに続いた。
「へぇ…あなたが…」そして、フッと口元をひきつらせぎみに微笑むと大袈裟なくらいの様子あ言う。「あたし…翔とね…昨日の夜は一緒だったのよ?あなたはあたしとは会わなかったわね?翔、忙しいからなかなか時間無いでしょう?あなたは当日の昨日じゃないなら、いつ誕生日のお祝いしてあげたの?」
ペラペラと自分自身に酔いしれるように、しゃべる女性をただ、言われた事を理解しようと心を無にしながらなんとか聞いていた。