求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
自分は、彼の、翔哉さんの誕生日も知らず、おめでとうの言葉すら伝えることがなかった。
友人として接していた私の距離では、誕生日は知らなくてもおかしくはないし、実際、店員の中で誕生日を知らない人もいる。
後で知れば、お祝いの言葉をかけられなかったことを残念には思うが、こんなにもモヤモヤとしたことはなかった。
そして、そう感じてしまう自分の心中が嫌だった。
あの人はただの友人、そして、遠い遠い芸能人なのだから、これ以上の深入りはしてはいけない、そう、心に言い聞かせ、今回のことはもう、考えるのを止めた。
あのキレイなリリアさんとつきあっているのか…そうなのだろう、なぜ、自分のところに来たのか、繋がりを知っていたのか分からないが、彼女だとしたら、なんでも知っていて当然かもと自分を納得させた。