求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
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10時過ぎ、朝のシーンを撮り終わりそのまま控え室代わりのロケバスに戻る。
公園に沿った道路に向かうと、スタッフに声をかけられた。
「あのぉ~翔哉さん…」「ん?どうしました?」立ち止まり訪ねると気まずそうな顔付きで車が数台停まるところより、少しそれた木陰に視線を送る。
つられて見ると、サングラスをした女性がこちらに体を向けつつ、うつむいていた。
直ぐ…リリアだと思った。
正直、もう、いい加減にしてほしかったが、自分の過去がこの事態を引き起こしたのだと、後悔してもしきれない、自分に腹が立つ。
このままでもダメだと、スタッフには「ありがとう」と声をかけリリアに近付く。
足音が聞こえたのか、女が…リリアが顔を上げた。