求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
「七谷さん、今回は翔哉とのことで事実と異なる報道がされ、お子さんと共にご迷惑と心労をかけることになり、本当に申し訳ないです、心からお詫びいたします。」そう、まずは社長が言って彩乃に向かい頭を膝につけんばかりに下げた。
「そんな……今回のことは、どちらが…とか、そんな話ではないと思ってますから。ですから、そんな風に頭を下げたりしないで下さい…お願いします…それを言うなら、私の方がご迷惑をかけているんですから…」悲しい寂しい苦しい…そんな言葉が浮かび上がりそうな、泣きそうな彩乃に、俺は胸がくるしくなった。
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村田さんが自宅がばれていて、隠し撮りされたこと、脅迫事件として、すでにチームが動いたことを説明した。
「私は…どのようにすればいいんでしょう?」
それは、諦めとか無気力とかとは無縁な、先を考える、聡明な瞳だった。