求*幸福~愛しい人はママだった~【完】


「君…そのナイフは危ないね…僕が預かろうか…」村田が声をかけるが「やっぱり」とか「苦しめばいいんだ…」とかブツブツ言ってる。



手に持ったままの携帯からは『彩乃?』と問いかける翔哉の声がまだ聞こえているが、彩乃にも村田にも返事をする余裕はなかった。



村田は返事のない女性にそっと手を伸ばしながら近づいて…彩乃は逆にその様子を目をそらさず見つめながらジリジリと、後ろに下がっていった。



あと少しで村田が女性の腕を掴む…というとき、彩乃との距離は5、6メートルほどだった。



女性の右腕にナイフがあり、それを掴むために村田が右側に寄る…女性と彩乃…間になにもなくなり…瞬間…視線が絡まる。



村田の左腕…利き手ではないため少しだけ反応が遅れたのかもしれない…が空を切ったと同時に彩乃めがけてナイフが鋭く飛んできたっ







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