求*幸福~愛しい人はママだった~【完】


そして、「聞いてくれますか?」と話し出した。



「私…あの女性に会う前に、仕事場の元同僚にも会ったの…少し揉め事があった人で、一瞬、この人がもしかしたらって体が固くなった…でも、違って。村田さんもちゃんとすぐ傍にいてくれて、安心したところに女性がナイフを…その時ね、紗彩の顔と一緒にあなたの…翔哉の顔も頭に浮かんだの…会いたいっ、死にたくないっ、て…。でも、あの人が自分にナイフを向けたときには無心だったと思う、死なないでって、それだけ。意識がなくなるときなのかな、また、翔哉のこと思ってた、まだ、言いたいことがあるのにって…」そこまで話してチラリと俺を見る。




生死がかかった場面で大切な娘と共に俺を思い、会いたいと思てくれた…むちゃくちゃ嬉しい話だった。




だが、まだ続きがあるらしい。




なんだか、ドキドキしてきた。



目が合ったまま何となく見つめあってしまった。



< 225 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop