求*幸福~愛しい人はママだった~【完】


「翔哉…半年以上、中途半端な状態でいて、ごめんなさい。でも、幸太とのことを自分の中で消化するのには、必要な時間だったの。今でもまだ、自分の気持ちを通すことに抵抗がない訳じゃないの…でもね、今回、こんなことになって、幸太の時も後悔したから…もう、したくない、って思ったから。」



静かな病室に彩乃の声が響く。



「じゃあ…幸太さんが、彩乃の背中を押してくれたのかな、感謝しなきゃな」少しだけわざとらしいくらいに明るめな声で言う。



「そう、だね。感謝だね。」にこりと笑いながら彩乃も頷く。



握った手を手繰り寄せるようにしながら、彩乃に近づく。



「彩乃…大切にする、愛してる…」



腰を上げながら自分の顔を彩乃のそれに近づける…ゆっくりと彩乃のまぶたが閉じる…俺は初めて彩乃に口付けた…



甘くて優しいキスだった…



< 228 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop