求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
「それは嫌、ダメ。」即答する俺にシレッとあきれた顔を向ける彩乃。
そして「じゃあ、これ、ね?」と左手で持ち込んでいたベビーカーを紗彩に見せる。
「いやらっ!!」今度は紗彩の即答。
頬を膨らませてる。
「じゃぁ、お手手を繋いでさぁちゃん自分で歩けるかな?翔哉ね、腕を少しだけお休みさせたいんですって。どうかな?」紗彩の目を見ながら優しく聞いている彩乃に紗彩は「ん~とぉ、ん~…わかったぁ、そうしゅるぅ…」ともぞもぞ、降りようとする。
格好つけたいところだけど腕が限界なため、逆らわず紗彩を下に下ろす。
「どの手とどの手を繋ごうか、さぁちゃん決めてくれる?」今度はしゃがみこみ、紗彩の顔を見ながら聞いている。
すると、「こうしゅるぅ~!」とスッと俺の左手と自分の右手、自分の左手と彩乃の右手…紗彩を真ん中に3人で手をつなぐかたちになる。
その時、柄にもなく目の奥が熱くなるのを感じて、胸も温かくなった。