求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
「あ、彩乃ちゃん、いつも付き合ってくれてありがとね。俺、すごい嬉しいんだ…」
少し頬を染めているのではないかと感じる幸太の真剣な視線を受けて、彩乃はドキドキと胸が高鳴った。
桜がまだ五分咲きほどのこの公園は、休日の今日でもまだそれほど人も多くなく、二人の立っていた桜の木の回りは人通りも今はなかった。
「そんな、幸太さんにそう思って貰えてるなら私も嬉しいですよ…?」
恥ずかしさから少し目を反らして伝えると、一歩、彩乃に近づいてきた。
そして、ジャケットのうちポケットから小さな箱を取り出すと、それをさっと彩乃に向かい差し出して頭を下げた。
「あ、あやの、ちゃん、…俺、君のことを幸せにしたい、大切にしたい!好きなんだ……結婚、してくださいっ!」