求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
俺のやる気が届いたのか、監督は俺を主役に抜擢、誕生日を向かえる初夏の陽射しのなか、長い撮影に入った。
話は戦争映画で、俺は家族をあまり省みないヤンチャな奴で親の有り難みも解らぬまま戦地に赴き、瀕死の重症をおいながら戦争とは、家族とは…と考えていく青年役だ。
俺は戦争を知らないが、とにかく監督や先輩俳優に食らいつき、俺なりの一兵士の成長をそれこそ体当たりでこなしていった。
途中、かなり厳しい暴言だろっそれ、っていうことも吐かれ、心身ともに潰れてしまいそうになりながらも、ほんの些細なところで「そうなんだよ!翔!!それだ!!」なんて言われたらまたやる気を絞りだしやり続けた。