求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
作ってきたお握りを食べてから家に帰る。
外遊びで疲れたのか、直ぐに昼寝をし出した。
その間に家事を済ませ、明日からの食事の下ごしらえをし、気がつくと夕方の5時を過ぎ、辺りは暗くなっていた。
こうして、ささやかだが確かに幸せな時間を過ごすことで、彩乃の心の中にいる幸太は、笑顔で、頑張り過ぎるなよ…と言ってくれているように感じることができるようになってきていた。
今はこの日々に精一杯で、紗彩が全てで、この先の未来に誰かを愛するなんてことは、まったく頭にも心にもない彩乃だった。
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こんな、心穏やかな日は珍しく、やはり、母子家庭には厳しい現実がある。