求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
「人気のある方なんだね、私ってここ一年位ドラマやバラエティーってみないからわからなかったのよ」
「えぇ~!!知らなかったんですかぁ?もったいないぃ。サイン、店長貰ってくれないかなぁ…はぁ~かっこ良かったぁ」
何がもったいないのかはわからなかったが、既に自分の世界に入り込んだ加藤さんはおいておき、私は昨日のこと、名刺のことを考えていた。
それほどの有名人ならば、連絡先などもし、漏れたら大変なのではないか、あの名刺をくれた方はマネージャーとあったから、あれは事務所の連絡先も含まれているに違いない。
無くしたり、他の人に誤って見られでもしたら…そう考えると恐ろしくなり、返してしまえばいいかしら?なんて思っていたら呼ばれる声がした。
「彩乃さん、店長から内線です」
「ありがとう」
受話器を受け取ると店長が来てくれというので、加藤さんに声をかけてから、店長オフィスへ向かった。