求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
動揺した気持ちをどうにかしようと、深呼吸をしてから、返事をしようとしたその時、部屋のドアがノックされた。
「入って、いつもありがとう」
「いつも、こちらこそありがとうございます、ご注文のアイスティスイーツセットです。」
ギャルソンスタイルの若い男性が、トレイにグラスとケーキ皿を2つずつのせて入ってきて、俺達の前に格好よく置いた。
「あらぁ、今日のスイーツも春らしくて可愛くて美味しそうねえ、彩乃ちゃんが好きそうだわぁ~♪」
「そうでしょう?彩乃ちゃんが桃のスイーツが食べたいなんて呟いちゃったんですよ、明良店長の前で。で、出来たのがこれです。」
店長は“彩乃ちゃん”なんてわざとらしく会話に入れてきてニコリと俺に笑いかけながら「どうぞっ!」なんて皿を寄せてくる。