天神学園高等部の奇怪な面々33
…それから後の事は、誰も覚えていない。

閃光に飲まれ、バスの中で全員が意識を失う。

どのくらい気を失っていたのかさえも、誰もわからない。

「んぅ…」

一番に意識を取り戻したのは拓斗だった。

真っ暗な車内で、ゆっくりと体を起こして軽く頭を振る。

車内を見回す。

バスが横転した訳でも、車内の仲間達が怪我をしている様子もない。

ただ皆一様に気を失っているようだ。

車内は真っ暗。

窓の外も闇に包まれている。

その様子がまるで…。

(夜?…いや…宇宙…?)

そう、宇宙空間に酷似している。

勿論そんな筈はない。

先程まで道路を空港に向かって走っていたバス。

それが何故宇宙空間を走っているなんて事態になるのか。

大体宇宙空間で普通のバスが無事な筈ないではないか。

如何に奇怪な天神学園の生活に慣れた拓斗とはいえ、やはり彼も普通の男子生徒。

ここが宇宙ではなく『転移中の空間』であるなどと理解できる訳もなく。

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