天神学園高等部の奇怪な面々33
次元を超えた迷子になってしまった事さえ忘れてしまったかのような、生徒達の安穏とした時間。

しかし。

「……」

先程までご機嫌の体で酒を楽しんでいた冬が、静かにピンドンの瓶を置く。

「……冬先生?」

ようやく落ち着いた喜屋武の介抱をしていたアリーシェが、その様子に気付く。

「何かあったんですか?」

「んー…」

腰までの黒髪、冬桜の花の帯留め。

限りなく白に近い桜色の着物。

妖艶とも儚げともとれる物腰で。

「『お客様』が来たみたい…」

冬はユラリと立ち上がった。

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