天神学園高等部の奇怪な面々33
何とか危機を潜り抜け、拓斗は走る。

それもこれも、不安なまま危険な地に残してきた仲間達の為。

今も何が起こるかわからない場所に置き去りにされたまま、恐怖と葛藤しながら拓斗達の帰りを待っているに違いない。

そう思っていたのに。

…戻ってみれば、仲間達は大豪邸の中でぬくぬく過ごしていた。

ナンダコノゴウテイ。

アリーシェの魔法によって出現した豪邸だと知ったのは後になってからだ。

唖然としたまま中に入ってみると。

「……」

泥酔した喜屋武が、床に転がって魘されていた。

ソファではピンドンの瓶を七本も放置した冬が、いい気分になって鼻歌を歌っている。

言いたくはないが、僕の苦労を返せ、とか心中で囁く拓斗である。

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