【砂漠の星に見る夢】
その言葉に、ヘレスは仰天したように目を見開いた。
「なんと、恋? そなたが望めば、どんな女も手に入りましょうが」
クフは首を振り、ギュッと拳を握り締めた。
「――兄上の婚約者に想いを抱いてしまったのです」
ヘレスは一瞬、解せないように眉をひそめたあと、目を見開き、高らかに笑いたい気持ちを必死で堪えた。
「――分かりましたよ、クフ王子。私がなんとか致しましょう」
「そんなこと……」
「クフ王子、そなたは可哀相な子。昔から快活な兄と比べられ軟弱な王子と影で笑われてきたのです。あなたが海外に行きたいといっても体が弱いということから、それも許されず、常に耐えてきました。
一方、あなたの兄は好き勝手に海外を旅し……あなたの欲するものを何かも手に入れてきました」
ヘレスは目に涙をため、切なげにクフを見た。