【砂漠の星に見る夢】
その言葉を合図に、ホールの扉が開き数人の侍女が姿を現し跪いた。
ネフェルも楽しげに目を細め、「さて、弟の深窓の姫君はどんな方なのか」と開け放たれた扉に視線を向け、大きく目を見開いた。
そこには、それは美しく立ち尽くすイシスの姿があったからだ。
ゆっくりとホールに足を踏み入れたイシスの姿に、王族貴族達が皆、言葉を失い「おお」と感嘆の声を上げた。
漆黒のストレートの長い髪は艶やかに光り、白い肌は象牙のようにしなやかで、大きな蒼い瞳はサファイアの輝きを放っていた。
二十歳を越したイシスは女らしさを加え、美にも更に磨きがかかり、他の者を圧倒する美貌を誇っていた。
そんな神秘のように美しいイシスの姿にファラオも「おお、これは美しい」と声を漏らす中、ネフェルだけが呆然と目を開いて立ち尽くし、言葉もなくイシスを凝視していた。
イシスはそんなネフェルを見詰め返し、切なく目を細めた。
……ネフェル。