【砂漠の星に見る夢】
イシスは部屋に戻るなり、高鳴る鼓動を落ち着かせるように、椅子に腰をかけ動悸の激しい胸に手を当てた。
『そういうことだったんだな!』
と怒りを顕わにしたネフェルの姿に、自分への想いがまだ残っていることを感じ、胸が熱くなった。
それと同時に切ない表情を浮かべていたネフェルの妻ターナの姿を思い起こし、胸をつまされるような気持ちになった。
子供が誕生して幸せの絶頂のときに水をさしてしまった。
やっぱり私は、出席するべきではなかったんだ。
それでもネフェル……会いたかった。
やっと、やっと、会えたんだ!
だけど、もう会うことは許されないだろう。
イシスは大きく息をつき、額を抑えたその瞬間、「イシス!」とクフが血相を変えて部屋に訪れ、その勢いのまましっかりと抱きついた。
「――どうしました?王子」
自分を強く抱きしめるクフに、イシスは眉を寄せた。
「不安なんだ……。あなたが、いなくなってしまう気がして」
苦しそうにそう告げたクフに、「いなくなったりしません」とイシスは吐き捨てるようにそう言って、皮肉めいた笑いを見せた。