【砂漠の星に見る夢】

そして、ヘムオン。


天の啓示で授かった息子……。


あれほど焦りを感じたのは、自分の寿命が短いことを本能で悟ったからなのだろうか?


生まれて間もないのに、あの子は両親を亡くしてしまうことになる。


「どうか……ヘムオンを……」


息を切らしながらそう言うネフェルに、イシスは何度も頷いた。


「あなたの頼みなら、なんだって聞くわ。だから……だから死なないで、お願いよ!」


イシスの声が遠くから聞こえるようだ。


あれほど、熱かった体内の感覚がなくなっていく。手足が鉛のように重い。


これが、死ぬということなんだ。

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