【砂漠の星に見る夢】

そう、男としては一生、愛せない。


彼に限らず、どんなに魅力的な人が現れても、私はきっとネフェルしか愛せない。


それならばジェドやヘムオンを愛するように彼を愛せばいい。


彼の言葉に耳を傾け、彼を愛することが、私の役目なのかもしれない。


イシスはそう思いながら優しくクフの身体を撫でると、彼は背を向けたまま涙を流しているようだった。


「情けない男だと、心では笑っているのだろうな」


ポツリと呟いたクフに、イシスは首を振った。


「クフ王、あなたは想像を絶するストレスとプレッシャーの中で生きているのです。
私の前では、弱い部分を大いに出してください。そして民衆の前で偉大な王となってください。私にそのお手伝いをさせてください」


体を撫でながらそういったイシスに、クフは言葉に詰まらせたまま、また涙を流した。



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