【砂漠の星に見る夢】
「私はそなたの父に憧れていたよ。
美しく聡明で堂々としていて、恐れ知らずな兄上は病弱で気弱な私には目にも眩しい存在だった。妬みがなかったわけでもないが、ただ純粋に兄上に憧れ、兄上のすることに胸をワクワクさせていた。
そんな兄上がファラオになることを心から望んでいた。
しかし皮肉なことに同じ女性を愛し、兄弟間に亀裂が走り、最後は悲しい結果となってしまったが、兄上に憧れ愛する気持ちには今も変わりはない」
「ファラオ……」
「……そなたがその若さで兄上のように立派に成長してくれたことを私は神に感謝している。そなたを宰相に任命したのは何の企みもない、そなたならばこの国を良くしてくれるであろうと信じたからだ」
強い口調でそう言ったクフを、ヘムオンは真っ直ぐに見上げた。
「ヘムオン、ピラミッド建造を頼んだぞ」
そう言ってヘムオンの肩に手を乗せたクフに、ヘムオンはサッと跪き、「はい」と強い眼差しでクフを見上げた。