【砂漠の星に見る夢】
「えっ? どうしてですか?」
「一言で言えば側室の権力争いと言いましょうか。
スネフェル王にはたくさんの妻がいましたが中でも絶大な権力を持つ妻が二人いました。
一人は第一王妃のメルサンクンク二世。
彼女は王位継承権を持つ者で彼女と結婚したお陰でスネフェルが王座に着くことができました。彼女は星信仰『オシリス』の人間でした。
もう一方はクフ王の母君第二王妃のヘテプヘレス一世です。この方は生粋の太陽信仰『ラー』派でした。何しろ彼女は太陽信仰『ラー』を率いる大神官の娘でしたから。
この二人の奥方の争いによりエジプトの運命は大きく変わってしまったのです」
馴染みのない名前に混乱しながらも、なんとか頭の中で話を纏めみることにした。
ええと、つまりは、第一王妃メルサンクンク二世が星信仰『オシリス』派で、第二王妃のヘテプヘレス一世が太陽信仰『ラー』派で、そして……クフ王の母。
「……クフ王って、第二王妃の息子だったんだ」
「そうです」