【砂漠の星に見る夢】



その瞬間、強風に吹き飛ばされるような衝撃に襲われた。


体が竜巻に巻き込まれ空に飛ばされるような感覚がし、気がつくと古井戸の外に座り込んでいた。


イシスは衝撃に高鳴る鼓動をおさえた。


息を整え、周囲を見回したがヘムオンの姿はどこにもなかった。


「ヘムオン?」辺りを見回し、「ヘムオン!」ともう一度声を上げるも、返ってくる声も人影もなかった。


呆然としながらも、ゆっくり身体を起こし古井戸を覗き込むと、そこは溢れんばかりの砂で埋まっていた。


……本当に砂に埋まってしまったんだ。


そしてヘムオンは……。



イシスが空を見上げると、強い風が髪を泳がせた。



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