【砂漠の星に見る夢】

しばしその場に佇んでいると、「母上!」背後で声がしたので振り返ると、そこには息を切らすジェドとカイの姿があった。


「ヘムオンからの別れの置手紙があって……ヘムオンは?」


必死の形相でイシスに駆け寄ったジェドの背後で、カイも顔色をなくしていた。


「い、今、オシリスの船が突然、空に飛び上がり遥か上空へと姿を消したんです」


「……ヘムオンは、もう行ってしまったわ」


「どこに?」


泣き出しそうな顔を見せるジェドに、イシスは柔らかく微笑みながら天を仰いだ。


「誰とも交わることのない、隔離された土地へ」


そして仲間と共に迎えが来る日を待つのだろう。


「そんな、もう会えないんですか?」


うっ、と言葉を詰まらせたジェドに、


「会えるわ……。今世では無理でも、来世で必ず……」


だって、約束したもの。


イシスはまた空を仰ぎ、優しい笑みを見せた。



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