【砂漠の星に見る夢】
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老人はすべてを話し終え、ふう、と息をついた。


「いかがでしたかな?」


すべてを聞き終え私たちは再びゴクリと息を飲んだ。


「最初は、信じられなかったけど今は素直に信じられます。本当に古代エジプトには高度な文明があったんだって」


熱っぽくそう言った私の横で、雄太はしばし黙り込み、


「それにしても、どうしておじいさんはそこまで詳しく知っているの?」

と不思議そうに老人を見詰めた。


雄太の言葉に、老人はホッホと笑った。


「当時のことを詳しく知っているのは、イシスとヘムオンとジェドフラーと、そして家臣のカイだけです。カイは全てを見守っておりました」


その言葉に「えっ?」と目を開いたその時「菜摘、雄太」と背後で両親の声がし驚き振り返ると、笑顔の父の姿が見えた。


「どうした? ボーッとして、さぁ行こうか」


父の言葉に私と雄太は戸惑いながら、立ち上がり、


「お、お父さん、私たち随分長い間ここにいたでしょう?」


「このおじいさんに呼び止められて長い話を訊いていたんだ」


そう言った私たちに、父は小首を傾げて腕時計を見た。


「長い間? 時間なんて全然経ってないよ」


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