【砂漠の星に見る夢】
「ヘムオン様。かつてあなた様がこの星を思い高度な文明を封じ込めてくださったというのに、この星の人間は自らの意志で文明の発達を願いこの星を食いつぶそうとしております」
カイはすがるような視線を雄太の背中に向けた。
まだ、幼いヘムオン様。
ですが私の語った『真実』がこれから成長してゆくあなたの糧となり、いつかきっとこの星を救ってくださる人物になってくれるでしょう。
私の魂はその為に存在したのでしょう。
カイはピラミッドを見上げ、かつてヘムオンと交わした会話を思い起こした。
『この偉大な建造物は、後世に渡りエジプトの宝となるでしょう』
そう告げた私に、
『そう言ってもらえるなら、私も罪を犯した甲斐があるよ』
と笑顔で答えたヘムオン様。
御身を賭けて国を救ってくださった、ヘムオン様。
「……ヘムオン様、かつてエジプトを救ってくださったように、どうかこの星をお救いください」
カイがそう呟いた瞬間、強い風が吹き上がり、砂が舞い上がった。