【砂漠の星に見る夢】
この作品、どこまでが事実(といわれていること)かというと、王位第一継承者であるネフェルマアトと、その母・メルサンク二世が暗殺されたこの衝撃的な事件、これは事実です。
ヘテプヘレス一世の仕業ではないか、と囁かれているのも事実ですが、確証はありません。
ネフェルが、どのように誰に殺されたのか、その記述は残っていないのです。
しかしネフェルが亡き者となり、第二王位継承者であるクフがファラオとなる。
これは紛れもなくヘテプヘレス一世の思惑通りなんですよね。
ネフェルマアトを暗殺後、太陽信仰派は息子のヘムオンも殺してしまいたかったのですが、星信仰の技術が根絶やしになってはピラミッドを建造することができなくなることなどを懸念し、生きながらえさせたことなどは事実らしいです。
ピラミッド建造後、民衆がクフ王を差し置いて宰相ヘムオンに物凄い歓声をあげ、褒め称えたことも事実だそうです。
そしてピラミッド建造後、ヘムオンは歴史から姿を消してしまいます。
嫉妬に狂ったクフ王に言いがかりを付けられて処刑されたのでは?
ヘテプヘレスに裏で処刑されたのでは?という説も残っているのですが、
私としては世紀の天才と言われるくらい賢いヘムオンですから人知れず姿を消しのでは?と睨んでいるわけなのです。
ちなみにクフ王という人。
クフという名は、『守られし者』という意味があるそうです。
小説の中だけではなく、実際、本当に母親にがっちり守られた方だったようです。
あれだけの偉大事業をなした人なのに、彼自身の像は小さな象牙像一つしか発見されていないそうです。
この事実こそ、彼の存在感の薄さをあらわしている気がしてなりません。
とはいえ、かなり過去の話なので色んな風に伝えられ色んな説が残されていました。
それなので、今回小説を書くに当たり、私自身、『一番、興味を引いた説』を取り入れさせてもらいました。