【砂漠の星に見る夢】
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ヘレスに釘を刺したネフェルは、そのまま自分の部屋に戻った。



部屋に入ると、宮殿の外観と似た黄金に縁取られた白い壁と大理石の床が目に映る。


天井には輸入品である豪華な蝋燭のシャンデリアが部屋を明るくし、留学時に贈られた海外の美術品が部屋を美しく飾っていたが比較的シンプルで上品な部屋だった。


そして常に数人の侍女がネフェルの身の回りの世話をする為に待機し、彼女たちはネフェルが部屋に入るなり皆一斉に、「お帰りなさいませ」と跪く。


「お疲れ様、皆はもう下がって休んでいいよ」


笑顔でそう言ったネフェルに、侍女達は驚き、互いに顔を見合わせる。


侍女たちの仕事は通常、主人が眠りに着くまで続く。


例え眠っていても突然目を覚まして「水」と言われたら、すぐに用意できるよう常に側にいるものだった。


もう休んでいいと言われた侍女達は、本当にいいものかと不安な表情を浮かべつつも主人の命令は絶対であるため、「では、すぐ隣の部屋に私どもはいますので御用の際にはお呼びくださいませ」と跪き、部屋を出て行った。



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