Yucky☆マニア~Special Fan book~
「俺…高校三年間はなかったものとして、頑張るよ…。」
入学式に出かける前に
玄関先で母さんにポツリとそう呟くと
「えぇ~!?なんで!?
楽しいよ!?高校生活!!」
能天気な母さんは、そんなとんちんかんな言葉を俺にかける。
「だって無理でしょ。
この恰好じゃカノジョはおろか友達すら危ないよ。」
ハァとため息を吐きながらそう呟くと
「そうかな。
母さんは素敵だと思うけど??」
そう言って母さんはニッコリとほほ笑む。
「仁は外見じゃなく中身が素敵な男の子だもの。そういう内から溢れる輝きって、隠しきれないものだと思うわよ??」
――えぇ??
母親の子ども自慢にも思える恥ずかしい言動に俺は一瞬言葉を失う。
――相変わらず甘いな…。
ニッコリと何の策略もなく笑う母親。
悪魔な父とは正反対の優しい母。
そんな母の笑顔にホッとして
「そう…なのかなぁ……。」
そう呟くと
「そうよ。
きっと見つかるわよ。
本当の仁を見つけてくれる女の子が。」
母はそう微笑んで
俺の肩を優しく叩いた。